コンピューターがデザインやアートを作る!? Generative Design/Art入門

今回は、本マガジンの大きなテーマ群でもある、デザイン・アート・テックが交差する面白いトピックを紹介しよう。筆者もデザインスクール や、コーディングブートキャンプに参加するまで知らなかったのだが、今コンピューターを使ったデザインやアート製作の流れが来つつある。まだ実用には少し遠い段階だが、今後、間違いなく盛り上がっていく分野だろう。そこで、今回はまだまだ日本では認知の広がっていないGenerative Design/Artについて深掘りしてみようと思う。


Generative design/art とは?

Generative design/artとは別名Algothmic design/artとも言われるように、コンピューターが一定のアルゴリズムに従って作り出すデザインやアートのことである。それだけだと、あまりイメージがつかないかもしれないので、下の例を使って説明してみよう。下のタンポポのタネのようなアートはGenrative Artを使って作成されている。アルゴリズムは単純で、一定の距離を進んだら二又に別れるという動きを繰り返している。

使われているアルゴリズム
axiom = FX
X -> >[-FX]+FX
angle = 40
Source: L-System User Notes

上記で見たようにGenrative Design/Artはもともとシンプルなアルゴリズムから始まっており、意外にもその歴史は古い。今から約40年前の1979年には、すでにSchool of Art Institute of ChicagoでGenerative Systems Classという取り組みが始まっている。

Generative systems
Generative System class, 1979(Source:SAIC

Generative design/artの何がいいのか?

1.自然界に存在する普遍的な美(合理的なカタチ)をデザインに適用しやすい

そもそも自然界には、合理的な美というものが存在する。例えば、巻貝にみる黄金比は、パルテノン神殿やモナリザにも活用されているし、生物の体の形状を真似したミミックデザインが新幹線のデザインにも応用されていることは有名な話だ。Generative designでは、その自然界の合理的な美のアルゴリズムを組み込むことで、人間のデザイナーには作り得なかった効率的なデザインを可能にする。このWiredの記事では、Generative designを活用して、術後の骨の成長を助けるインプラントが紹介されている。興味のある方は見てみてほしい。


2. 人間の手で作り出すには、手間と時間がかかりすぎる作業を自動化できる

例えば、下のようなアートを人間が手書きで書いたらどれだけの時間がかかるだろうか。例え、Adobeのイラレを使ったとしても途方もない時間がかかることがわかる。少なくとも筆者は絶対に自分でこれは作りたいとは思わない笑。

Source: inconvergent

でも、コンピューターを使えば、無限にこの作業を続けてくれる。

Source: inconvergent

もしくは、下記のように少しずつバリエーションを変えたデザインをいくつも量産してくれる。人間のデザイナーがやるべきことは、後からこの候補の中で自分の趣旨にあったものを選ぶだけだ。

Source:nervous system

3. 人間の想像を超えたデザインを作り出せる

人間は良くも悪くも、常識を持ってしまっている。しかし、コンピューターにはそれがないため、人間の常識を超えた独創的なデザインを作り出すことができる。このようなデザインに触れることは、私たちの創造性を刺激するためにも良いだろう。

Source: Adweek

Generative design/artを試してみる

もしあなたがGenerative design/artに興味を持ったのであれば、ここで朗報がある。JavaScriptのP5.jsというライブラリを使えば、初心者でも簡単にGenerative design/artを作ることが可能なのだ。筆者もコーディングブートキャンプで少し試してみたが、普段JavaScriptで使うような繰り返し処理や条件分岐だけで、面白いデザインを簡単に作ることができた。興味のある方は是非試してほしい。P5.jsのエディターはここで見れる。

p5.js demo
Source: p5.js

Generative design/Artのある世界でクリエイターの役割はどう変わっていくのか?

Generative design/artが今後もっともっと普及していく中で、デザイナー等クリエイターの役割が変わっていくことは避けられないだろう。その働き方は、自分で一からクリエイトするというより、良いものをキュレートする方向性に変わっていくのではないだろうか。その時に唯一頼れるのはあなたのセンスだ。そんな時代に備えて、今から美術館巡り等で感覚を磨いていくというのも良いかもしれない。(オススメの美術館を知りたいときは、Musashi Alexanderの記事も参考にどうぞ。)

また、この分野は奥が深いので、今後マシーンラーニング等の記事とも絡めて深掘りしていきたいと思う。