ファッショニスタ必見!ファッションとサステナビリティ入門

日本にいると、街はキレイ、ごみの分別・リサイクルなど、環境問題についてはきっちりむきあって、責任を果たしていると感じるだろう。しかし、それは生活ベースであって、普段何も気にせずに着ている洋服や小物アイテムなど、消費に関して、あなたはエシカルで責任のある行動をとってるいるだろうか?今回は、筆者の専門であるファッションとサステナビリティの入門編をお届けしよう。

ファッション業界と環境問題

ファッション業界は世界で2番目に地球に負担をかけている。(最も地球に負担をかけている業界を石油業界。)大きな理由としては、市場規模がグローバルで200兆円超えである超巨大市場だからだ。2000年代に入ると、ファスト・ファッションが台頭し、そこでは毎週のように新しいデザインの洋服が投入され、売れ残りはセールとして売りさばくが、大半の売れ残り品が廃棄場行きとなる。未だ使える洋服の90%以上が廃棄されているというデータもあるくらいだ。このように、たくさんの資源をつかい、製造段階でたくさんのコストをはらうファッション業界は、地球への負担が大きい。

サステナビリティ

この単語、読者なら聞いたことがあるのではないだろうか。しかし、「サステナビリティ」って広義な単語すぎて、人それぞれ汲み取り方が違うと思う。上のグラフは過去10年間で「サステナブル」をGoogleで調べた結果であるが、単語が広義故にこの単語の検索回数は急上昇している。一般的な辞書では、「持続可能性」や「商品やサービスを作ることで環境破壊に寄与せずに持続できること」などと定義されている。筆者の理解では、次の世代以降も他と共存していけるような最適な状態を持続可能にする”メンタリティ/マインドセット”である。そう、単に持続可能な状態を保てばいいわけでも、環境破壊に寄与しないことでもない。サステナビリティというメンタリティを意識しなければいけない根本原因の一つに資本主義がある。経済成長を求めるがあまりに、自己中心的マインドセットが浸透し、他との共存を拒否しエコシステムを崩してまで自己の利益を獲得しようとしているからだ。

ファッションとサステナビリティ

triple bottom line sustainability graphic
出典:http://fixourfood.info/triple-bottom-line/

ファッションでサステイナブル?環境破壊?と思うかもしれない。サステナビリティの概念と重要性については上記で簡単に説明したが、ここからは本題のファッションとサステナビリティについてみていこう。まず、トリプルボトムライン(英語ではTBLと訳される)というフレームワークを聞いたことがあるだろうか。トリプルボトムラインとは、英国のジョン・エルキントン氏が、ビジネスで必須の決算書が経済的評価のみであることを問題視し、経済面に付け加え、環境面・社会面でも評価すべきであると提唱したものだ。現在では、非営利団体Global Reporting Initiative (GRI) のサステナビリティレポートガイドラインの基盤となっており、企業が発行するCSRレポート作成段階でもこのフレームワークは役立てられている。

さて、経済的指標は必要な利益を獲得しビジネスを持続することだが、ファッションにおいてサステナビリティが語られる場合、”環境面”および”社会面”においてがほとんどだ。そのため、今回は社会的指標・環境的指標の2軸について触れていく。

環境的指標

環境的指標とは、資源節約や汚染対策を行っているかの指標だ。多くの人は、コットンのTシャツを一枚は持っていると思う。それではこのコットンのTシャツ一枚を作るのにどれくらいの資源をつかって、どんな環境汚染を引き起こしているか考えたことがあるだろうか。WWFによると一枚のTシャツを作るのに必要な水の量は、2,700リットルにもなるという。2,700リットルの水は、人が2年間半で必要とする量と同じだ。こう聞くと、環境面においてファッション業界がどれだけ地球に負担をかけているのか想像つくと思う。また、これが起こる理由としては、綿花栽培の灌漑水に始まり、生地などの染めや仕上げなど、多くの製造工程で水を使うからだ。もし生地の染色料が化学的なものであれば、それは多くの場合川・海に流れ出るので、水質汚染にもつながるのだ。

社会的指標

社会的指標とは、労働環境などの人権に関わる部分や社会貢献である。労働環境で例をあげれば、2013年にバングラディシュの首都近郊でおきた事故だろう。ラナ・プラザ(商業施設)が建物ごと崩壊し、そこにあった縫製工場に努める約1000人が亡くなった。ここでは、なぜ起きたのかが問題である。縫製工場で勤務する従業員は建物の老朽化から生じる異変に気づき、マネージャー等に伝えていたものの、マネージャー陣はそれに応じることなく、従業員はそこで働くことを余儀なくされていた。また、その従業員からの申し立てにたいしてマネジャーは、黙って仕事を続けないなら解雇することも示唆していたとのこと。このように、人権問題を無視し、コストを抑え会社の成長だけを目指しても、サステナビリティなビジネスではないということだ。社会貢献という面では、ZOZOなどの大手が行う、災害時の寄付や売上の一部をNPO等に寄付することなどがある。

正しい消費者になるために

このように、ライフスタイルの一つとして確立され、我々にとってなくてなはならない洋服だが、様々な犠牲を伴って作られているのだ。それでは、我々消費者はどのような選択をしていかないといけないのか。入門編なので、実際に明日から実践できる方法をご紹介しよう。

まず、不必要な消費を控えることだ。よく言われるのは、最もサステナブルな洋服はすでにあなたのクローゼットにある洋服だ。もし洋服が必要になったら、オプションがあれば古着を買うことやレンタルをする。ただし、すぐには消費行動を変えることは難しいと思う。そういう方には、ファストファッションのようなすぐ駄目になる洋服を買い控え、少し高くても一生着続けることができるようなデザインとクオリティのものを買うようにする。そして意識的に以下のような生地を選択することをおすすめする。(注:他のバイオマテリアル等もあるが、今回はある程度流通している素材を選抜している。)

  • シルクのような製造において水を殆ど使わない天然素材
  • コットンであれば殺虫剤を使わずエコシステムを守れるオーガニックコットン
  • テンセルやモダールなど、サステナブルな方式(closed-loop)で製造されたもの
  • リサイクル生地(ゴミから作られたもの、技術の発展により多く存在する)

購入後は、選択のガイドラインに気をつけて丁重にケアをすることが重要だ。ほとんどの人は、洋服の裏についているケアレーベルをみることがないだろうが、きちんと洗濯する前にみることを強くすすめる。そして、使い終わっても捨てずにリサイクル/アップサイクル/寄付する等を行うといいだろう。最後に最も重要なのが、このような重要な事実と今日から行動できることをできるだけ多くの人に伝えることだ。

次回予告

少しは理解が深まり、もっと知りたいという気持ちになっただろうか?次回の記事では、より理解を深めていただくために、筆者おすすめの関連書籍をご紹介するので、お楽しみに。